北海道(じゃがいも道)

北海道は、蝦え夷ぞ地ちとよばれていたものが、1869年(明治2年)に現在の名前になりました。名付け親はアイヌ文化にも精通した探検家で開拓使の高官だった松浦武四郎氏です。南海道、東海道、西海道のアナロジーで命名したように見えますが、そればかりでなく、アイヌの人たちが自らを「カイ」と呼ぶことから、北加伊道を考案し、別案として北海道もあわせ提案したということだそう。その他、日高見道や海北道といった案も提案されていました。

 

アイヌについては、かつては欧州の白人に近いなどという説もありましたが近年では否定され、モンゴロイド系だと考えられています。縄文時代の原日本人のなかで、弥生文化を受け入れずに独自の社会と文化を発展させていった人たちと見るのが妥当でしょう。紀元前後には続縄文文化が栄え、アイヌ文化が確立したのは13世紀ごろです。

 

江戸時代には蝦夷地は松前藩の領地とされていましたが、幕末には箱館(函館の旧名)など一部が天領とされました。明治になって天領が北海道開拓使の管轄になったのに対し、松前藩領は青森県に編入された時期があったりしました。それが、明治5年には松前藩領も開拓使の支配下に入ることに。明治15年には官有物払い下げがスキャンダルとなったことから開拓使がいったん廃止され、北海道は札幌、函館、根室の三県に分割。それが、明治19年に北海道庁が設立され現在の形になりました。

 

札幌には幕末に幕府直営の牧場が開かれたりしていましたが、明治2年に開拓使の本府が置かれました。江戸時代から本格的に蝦夷地の開発を進めるためには、道央にその根拠地を求めるべきだといわれてきましたが、札幌はそうした観点から選ばれた土地に建設された新都市です。1867年(明治9年)に開かれた札幌農学校は大正時代になって北海道帝国大学になりました。「少年よ大志を抱け」の言葉で有名なクラーク博士はこの学校の教頭を務めていました。

 

北海道でも西南部の渡お島しま半島には、比較的に早い時期から本土からの移住者がおり、松前は道内ただ一つの城下町。天守閣が残っていましたが、戦後火事で焼失したあと再建されました。函館は幕府によって新しい北海道の拠点として位置づけられ、また、開港地として発展し、西洋式の要塞、五稜郭が建設。戊辰戦争では、幕臣榎本武揚らがフランス人顧問らとともに籠城して北海道独立を策したが落城しました。昭和の初めまでは仙台や札幌もしのぐ北日本第一の都市でしたが、函館山からみる夜景はいまでも日本で最高のものの一つであり、ギリシャ正教のハリストス正教会を正面に見て上がっていく大三坂通りにはエキゾティックな雰囲気が漂っています。

 

かつて、函館と並ぶ主要都市の一つだった小樽は航空機の時代になって衰退気味ですが、運河と赤煉瓦づくりの倉庫群を活かし、ガラス工芸を目玉とした観光都市として健闘中。新千歳空港から南に向かった海沿いにある苫小牧は、広大な後背地に恵まれ、北海道の新しい海の玄関口になりました。市の東部では苫小牧東部開発が進められましたが、むつ小お川原がわらと同様に苦戦している。ただ、長い目で見れば、ここは日本に残された数少ないまとまった都市開発が可能な好条件の土地であるのは確かで大事に使いたいところです。

 

道東は雄大な自然で観光地としても人気。透明度日本一を誇る摩周湖は、高い山に囲まれたカルデラ湖ですが、霧に包まれることが多く、湖面がすべて視野にはいることはあまりありません。麓の温泉で待っていて、晴れたらすぐに飛んでいくぐらいの覚悟が必要です。釧路周辺の湿原は丹頂鶴の渡来地としても人気で、水鳥のために湿地を守ろうというラムサール条約の保護地域でもあります。

 

昔は北海道というと夏の観光地のイメージが強かったのですが、今では冬の北海道の人気も高く、スキー・リゾートは国内だけでなくアジア各国で人気が高まっています。大通り公園のさっぽろ雪まつりだけでなく紋もん別べつの流氷まつりなども人気上昇中です。

 

雄大な自然を生かした観光資源はきりがないほどですが、花の名所として、ラベンダーの富良野(上川)、大竜町のひまわり(空知)、滝上町のシバザクラ(網走)、二十間道路の桜並木(日高)、大雪山の紅葉(上川)などが有名です。

 

北海道民の道民性は古い因習などにとらわれないのが何よりの特徴で、そのためか離婚率が全国でも最高水準となっています。いわゆる水商売への抵抗感も少ないことから「ススキノ」に代表されるように夜の町も華やか。ここでは、しっとりした情緒より道産子歌手の細川たかしが唄う「北酒場」の明るさがよく似合いますが、この夜の町の楽しさが、離婚率をまた上げているのだという説もあります。中島みゆきさんと松山千春さんという二大シンガーソングライター、それに『失楽園』の渡辺淳一さんなどは現代の北海道が育てた宝物です。

 

北海道は、東北弁の影響もある程度は指摘できますが、全国各地から移住民が集まっているのでどちらかといえば方言ではなく、標準語に近いイメージです。

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